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「手しごとを結ぶ庭/稲垣早苗」を読む。
先日、知り合いの方の展示を観に「ヒナタノオト」というギャラリーを訪れたのだけれど、そのヒナタノオトの運営をされているのがこの方でした。
東京に来てから、ギャラリーや工房を訪れて作品を観て、ときに買うことが多くなりました。
それは、染物だったり、家具だったり、陶器や硝子の器だったり、写真だったり、
とりとめもないのだけれど、どれも見ていて楽しい気持ちになるし、
作り手のひとの意図を読み取ったり、作品を手にしたときのことを想像したりして楽しんでいました。
特に芸術に詳しい訳でもないし、ものづくりに関わった経験もほとんど無いけれど、
こうしたことを楽しめるようになったのは、少しずつ年をとって来たせいなのか、よくわからないけれど。
ヒナタノオトを訪れると、この本のなかで紹介されている何人かの作家の作品に出会うことができました。
手づくりで、一つ一つ作られた暮らしのなかにとけこんでいく工芸品が展示されていて、どれも値段はするけれども買うことができます。
ものづくりをする人に、心惹かれていく著者の気持ちがすごくよくわかる気がします。
「作ったものを使う人へ渡していくこと。作り手どうしをつなげること。使う人から作る人へ伝えていくこと。
わたしは、ものを作る人ではないけれど、結ぶことで、
作ることと関わっているのかもしれない。」
ものを作ることをしなくても、ものづくりに関わることができる。
作家どうし、作家と作品と使う人をつなぐ空間をつくり、作家の言葉を伝える。
ある人の手によって作られた空間にはその人なりの空気感であふれていて、そこに集まっているもの、人を見ていると、
企画された人がこれまで培ってきた感性や経験が垣間見えるようで、その個性がとても面白く感じます。
とても尊敬すべき仕事をされている人だと感じると同時に、こうしたことにいつか関わってみたいと思ってしまいます。
必ずしもものづくりでなくても、音楽を作る人をつなぐ、絵を描く人をつなぐ、ものを書く人をつなぐ、
そうした空間のいつか自分自身でアレンジできたら、と。