チェコのビアホールは面白そうだ。
本書を読んで、ぜひ行きたくなった。まずビールがうまそう。
そしてそこでの人々の語らい、暗がりのなかで顔を赤らめた人たちの人生、
それらを垣間見ることの楽しさを感じさせる。
ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」を訳したチェコ語の研究者、千野栄一による、
タイトル通りのプラハのビールと古本に関するエッセイ。
チェコのビール通の飲み方、ビアホールの常連の話など、
まったく知らない異国の交流のさまが描かれていて、それが妙に情緒的に想像力を掻き立てる。
歴史や政治に文化が影響を受けやすい土地では古本に関する事情も変化が多い。
そうしたなかで変わらずにあるビアホール・バーでのひとときは、著者にとっても格別の時間だったと思う。
階段の七番目―ビールのちょうどよく冷える温度の場所
このことは覚えておきたい。