Lazy-planet

LIFE | yuki ota

【篠山視察】古民家再生プロジェクトと集落丸山

| 0件のコメント

兵庫県の篠山市(ささやまし)に「集落丸山」という、一棟貸しの古民家宿泊施設があります。

前々から気になっていたのですが、なかなか機会もなく、一棟貸しということもあって宿泊料もなかなかのお値段なので、行けずにいました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「集落丸山」

そのとき、たまたま一般社団法人ノオトという団体のホームページで、篠山の古民家再生について、そして集落丸山の取り組みについて書かれていることを知りました。

篠山市は篠山城を中心に市街地があり、秋などのシーズンには名物の黒豆やジビエ料理などの観光資源も多く、観光の町として知られています。

また古くからの街並みが多く残されている地域でもあり、伝統的建造物群保存地区(伝建と略されることが多いです)にも指定されており、今も昔の町屋や茅葺屋根の古民家が保存されています。

一方で、観光に来る方は、そういった建物が残されている街並みのほうに足を運ばずに、土産物が多くある通りを中心に回ったりという現状もあるようです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

篠山の街並み

以前、「ササヤマルシェ」というイベントに参加するため、篠山に遊びに行ったことがあります。
そのとき、会場だった河原町が本当に昔から守られてきた街並みで、賑やかな人手とともに、地元の食材や手仕事のものを買うことができて、とても面白かった印象が強く残っていました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ササヤマルシェ

もちろん、そうした街並みは、もともとあるものを、ただそのままにしていたわけではなく、そこに住む人たちやそれを守ろうとする人たちのもとで、維持・管理されて初めて成り立つものです。
古民家の維持にはお金がかかる、地元にはもうお盆と正月しか戻らない、家に人がいないから腐っていく・・など様々な問題も抱えています。

そうした空き家対策をはじめとした問題解決や雇用創出、ツーリズム、そして古民家を保存し活用することで町を活性化させるという趣旨のもと、一般社団法人ノオトは設立されているようです。
そして、そこから分かれて設立された一般社団法人ROOTという団体もまた地域発信ツーリズム、体験プログラムを設計するという役割のもと篠山で活躍しています。

そのROOTにて、篠山の城下町に残された古民家や集落丸山をめぐる視察ツアーが開催されていたため、そこに参加することにしました。

ツアーの最小催行人員にも満たない(2人だけでした・・)にもかかわらず、ミニツアーを開いてくださり、ゆっくりと話を聞きながら、市内をまわることができました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

一般社団法人ROOT

伝建地区に指定されると、外観の保存が優先されるため、そこに住む住民たちは家を改修したり、立て直す等のことが容易にできなくなります。
また、その維持・補修に関する補助費用は国から支給されますが、日々の保全はもちろん町の自治にゆだねられます。

そのため、伝建に後ろ向きな住民も少なくなく(申請時に住民の8割の同意が少なくとも必要)、またほかの街並み保存制度も並行して制定されている現在では、なかなか積極的に伝建指定を受けようとする地域は少ないのが現状です。

そのなかでも、篠山はかなり広い範囲で、伝建指定を受け、またそれ以外にも多くの古民家を改修し、新たな人も呼び込むきっかけにもなっています。

私は、専門が建築ではないので、古民家自体よりも、どうやってそういったコミュニティ内のコンセンサスを得て、ここまでやってこれたのか、そのあたり、とても興味をもっていました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

篠山の街並み2

市内をゆっくり回りながら、話を聞くと、もともと街並みの保存への意識の高い住民が多いこと、まず古民家を再生しようという声が住民自身から上がったこと、一般社団法人ノオトの立ち上げに、副市長も関わり、また外から来た人(案内してくれた職員)たちも、町に溶け込めるよう行事にも積極的に参加し、一体感をもって現実的なやり取りの末に、古民家再生のノウハウが蓄積されていった経緯が分かりました。

また、町を案内しているときも、いろんな人に声をかけられ、声をかけ、日常のコミュニケーションがどれだけ密に行われているか、ということが本当によくわかり、その中心に主体となって再生プロジェクトを進める法人があることが、より強い自治組織を形成しているのだと感じました。

集落丸山の全景

集落丸山の全景

また、集落丸山は、市内からはタクシーで10分ほどの山間の集落です。
そこでは住民全員が集落丸山を経営するNPO法人の会員であり、自治会とは別の組織として、集落丸山を経営している、という話を聞きました。

丸山集落には12戸の民家があるが、取り組みが開始された時点で、このうち7戸が空き家で居住者は5世帯19人であった。

(集落丸山視察見学資料より)
というところからも、とても小さな小さな集落であることが分かります。

そこから、様々なワークショップやまちづくり学習会、会合を重ね、滞在施設の整備と体験イベントの持続を行うという方向性を定めました。

新しい住民による手作りのヒンメリ

新しい住民による手作りのヒンメリ

そのスキームは一風変わった方法を採用しています。
NPO法人集落丸山と一般社団法人ノオトが有限責任事業組合(LLP)を結成し、そのLLPに対し、集落住民や市民が寄付・出資を行う、<市民ファンド>を形成する。
所有者はLLPに無償で10年間貸与をする代わりに、その古民家の改修・活用維持にかかるコストはLLPが負担する。
一見サブリースのようで、所有者のデメリットは最小限に抑えられています。また、自治会とは別個の組織を立ち上げたことで、寄付や出資を受けやすくし、
万一事業が成立しなかった場合の住民のリスクヘッジも行われています。

また、スタート時点で積極的に補助金を獲得しているのも特徴的です。古民家改修の費用の半分(約3500万円)の補助金を得ています。

こうした工夫された事業計画のもとに、住民が協力的に古民家を貸出し、維持管理を行ってきた結果、素晴らしい里山体験の可能な宿泊施設が生まれたのだとわかりました。

そして、篠山市周辺では今は「人のつながり」から「人の広がり」へと変化し始め、まちづくりの第二ステージに来ている、とのことでした。

これから、篠山の街に点在する古民家を再生し、街全体で古民家ホテルを形成する、という面白い動きも始まっています。

はじめは、閉鎖的な部分もやはりあった、とのことでしたが、新しい人を受け入れることに慣れてきた住民たちの間で、さらにその新しい人たちの知り合いもまた新しく入ってきて、という良い流れが作られたようです。

非常に勉強になるところが多く、またこうした上手く補助金などの制度を使いながら、無理のないやり方で、地域おこしの成功をしている好例だと思いました。

何より、街並みも集落丸山の風景も、とても美しく、作りこまれていない自然の集落の過ごし方を体験できます。
そういった場所がある、そういった場所を作っている人がいる、ということを知り、地域の人が自らの手で作り上げた空間のすばらしさを体感しました。

カエルや鳥の鳴き声の響く風景

カエルや鳥の鳴き声の響く風景

ときどき、「いま住んでいる地域に何ができるだろうか」「地元の町の衰退を何もしないで見るだけでいいのだろうか」と思うことがあります。
たまたま今は自治会長をやっていたり、地域に関わることが多いけれど、そういった関心は、子どもが生まれたり、長くその土地に住むことになったり、とそのライフスタイルの変化によって深くなるときがあるのだと思います。

そういったとき、気が付けば自分のフルサトを無くしていた、自分の住む場所にはコミュニティがなかった、などと後悔しないようにしたい、と思っています。
仕事に打ち込むと、また海外に出たりすると、なかなか地元に戻ることも地域に関心を寄せることも難しくなります。

それでも、関心を寄せる意味があるとすれば、何かあったときに「安心して帰ることのできるフルサト」が必要だからだと思っています。

いま、私が住んでいる場所も本当に魅力的な人が集まったよいところです。
その良さを保ちつつ、新しい流れ、人の変化を面白く感じられるよう、できることをしていきたいと思います。

※篠山の取り組みをもっと知りたい方はROOTが発行している、こちらの書籍もとても参考になります。
丹波篠山 古民家を“めぐる”見聞帖

P.S
一緒にツアーに参加した子も同年代くらいの面白い女子で、糸島や熊野や八女などそれぞれの地域でナリワイを作っている人のところとつながりを持っているようでした。
いずれどこかでまた会いそうな気もします。


Facebook comments:

コメントを残す

必須欄は * がついています