最近読んでいる3冊。お前もどこか遠くに旅立ちたいのか、と自分で突っ込みたくなる選書ですが。
ウォールデン湖畔に自ら小屋を建て、自給自足の生活を送りながら、森での生活を綴った『森の生活』で有名なヘンリー・ソロー。その膨大な日記を読み解き、その思想の深淵に迫る一冊。
ソローの言葉は、どれも深く残る。
知性や哲学に真に向き合った人の言葉だ。
“たんなる時間の経過だけでは決して明けることのない朝というものがある。私たちをあざむく朝の太陽光は、逆に私たちの目をくらませてしまう。真の夜明けを迎えるためには私たちが目覚めて居なければならない。夜が明けるのはまだまだ先だ。今日の太陽など、明けの明星のひとつにすぎないのだ。”『Walden』p.333
メイ・サートンは、詩人・小説家であるが、晩年膨大な量の日記を書き綴っている。自身の小説の中で、同性愛を告白した彼女は、大学の職を追われ、予定されていた小説の出版も中止。失意の中、まったく未知の片田舎での生活を始める。
”私から年齢を奪わないでください。働いて、ようやく手に入れたのですから。”
そう言葉を残す彼女は、孤独のなかで自由を謳歌している。
もともと東京に暮らしていたイラストルポライターの著者は、乳がんを患い、その後離婚。一人暮らしを始めることになるが、狭い家を捨て、小豆島に移住。そして今、ヤギと暮らしている。その移住の顛末記。
上の2冊と合わせて読んでいるせいか、単なる移住本として読めない。一人の女性として、一人の作家として、その生きざまを見ている気がする。しかもこの現代の日本で。
なんだかとても楽しそうだ。
嗚呼。どこか遠くで、暮らしたい。